あおいっちの逆襲

あおいっちのついったーでは言えないはなし。

夢のおわり

22時発の夜行バスに乗った。さすがに搭乗するときは泣くのを我慢したけれど、隣が空席だったのでバスが発車してから小さい声でぐすぐす泣いた。


あの時の僕は耐えるべきだったと思う。元カレのことを忘れられないアバズレさんを受け入れるべきだった。元カレに連絡をとろうとする彼女を許すべきだった。
いつか僕を本当に好きになってくれる時が来るまでじっと耐えるべきだった。

でも僕はそれが出来なかった。僕のことを本当に好きじゃないってことはうすうす気づいていた。でも認めたくなかった。「元カレのことなんて忘れて」時の広場でそんなふうに言った時僕は「これで僕がアバズレさんを本気で好きなことが伝わる」「半年も連絡をしていない元カレのことなんて忘れてくれるだろう」なんて思っていた。
でも思惑はすべて裏目に出た。

確かに僕がアバズレさんを好きなのは伝わったのだろう。でも彼女は自分を本気で好きでいる僕のことを裏切りながら付き合い続けるなんて事ができるほど酷くなかったし、そんなことで僕に一途になってくれるほど優しくもなかった。

今思えば別れて当然だった。決定的な決裂だった。


旅の疲れとアバズレさんのことで頭がおかしかった僕は途中に寄ったパーキングエリアで人生初のタバコを買った。マルメンライト。この時の僕のことは僕でもよくわからない。何がしたかったんだろう。グレたかったんだろうか。

家に帰ったのは朝になった。一緒にやっていたCOUPLESというアプリの挙動がおかしい。
LINEを送っても既読がつかない。その時点で僕はそれが彼女からの挨拶なのだと気づいた。アバズレさんから聞いていた他の人との別れ方と同じだったからだ。



ほろよいホワイトサワー、男梅サワー、写真、記憶の中のスノウドーム、彼女を思い出し、微かな熱を感じ取れる道具は少しある。
でもそんな思い出にいつまでもすがってはいられない。
そんなことを続けていたら僕も彼女と同じになってしまう。

他人に依存することでしか寂しさを紛らわせられない、誰かに慰めてもらわなければ生きていけない、そんな記憶の中の彼女ともいい加減別れなければならない。
見ていた夢のことなど忘れて、今日を生きなくてはならない。素敵な夢だった、そう言って終わりにしなければならない。

朝ごはんを食べて昼食をとって夕飯を済ませてお風呂に入って布団にもぐったら、また違う夢を見よう。



今度は短い夢でなければいいけど。